全国公立小中学校事務職員研究会

第43回全国公立小中学校事務研究大会鳥取大会

研究ガイド

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第7次研究中期計画 平成23年度鳥取大会年次別課題
「教育課程の実施と学校事務」の設定理由


 学力低下を懸念する世論、国際的な学力調査や全国学力・学習状況調査結果などを踏まえて、審議され告示された新学習指導要領は、小学校では平成23年度、中学校では平成24年度から全面実施となる。改訂の基本的な考え方は、(1)改正教育基本法等を踏まえた学習指導要領改訂、(2)「生きる力」という理念の共有、(3)基礎的・基本的な知識・技能の習得、(4)思考力・判断力・表現力等の育成、(5)確かな学力を確立するために必要な授業時数の確保、(6)学習意欲の向上や学習習慣の確立、(7)豊かな心や健やかな体の育成のための指導の充実の7点に集約される。
 新学習指導要領では、学校教育において「生きる力」を基本理念とすることに変わりはないが、「生きる力」を「知識基盤社会を担うためにさらに必要な力」と位置づけたことが現行の学習指導要領での位置づけと異なる。「知識基盤社会」においては、生涯にわたって学ぶことが求められ、義務教育は生涯学習の重要な基盤であり、9年間を見通した小学校教育と中学校教育の連続性の確保と継続的な学びが求められる。
 新しい教育課程の編成においては「生きる力」の育成という基本理念のもと、各教科とそれらを横断的に貫く教育課程全体の二つの側面から、実践上の課題を洗い出し、その解決に向けての手立てや方策を検討し、このことを踏まえて教育計画を立案することが求められている。
 鳥取大会は、第7次研究中期計画及び「学校事務のグランドデザイン」実行の3年度にあたる。
 本年次別課題は教育課程実施における学校事務の機能及び事務職員の役割を追求・探求することで、「子どもの豊かな育ちの支援」の具現化を目指すものである。
 新学習指導要領を円滑に実施するためには、教職員定数の改善をはじめとする教職員の配置、教科書・教材、学校の施設・設備など教育を支える条件整備が不可欠であり、こうした条件整備と教育の両面から進めていくことが重要と考える。また今後、地域の特色を活かした教育の重要性が認識され、創意工夫された特色ある教育課程の編成と、地域との連携を推進する組織体制の整備も必要となる。各学校は独自の教育活動を一層推進することが求められ各校が抱える課題についても組織として積極的に対応し、学校改善を推進していく必要がある。
 事務職員には、学校組織マネジメント機能の強化、教員の事務負担の軽減、人的・物的な教育条件整備を通じて、教育課程の実施を教員とともに実現することが求められる。
 まずは、新学習指導要領を理解し、各校における教育課程の編成・実施に関わっていく姿を、事務職員の共通認識とし、そのうえで、カリキュラムマネジメントの実施を通して、質の高い教育を展開する学校づくりと学校の総合力向上の実現する学校事務を、以下の課題に整理し「教育課程の実施と学校事務」を考えていきたい。

(1)カリキュラムマネジメントと学校事務
 カリキュラムとは、「子どもたちの実態を踏まえて設定した学校の教育目標を実現するために、児童生徒の心身の発達に応じて教育内容と時数を関連させて総合的に組織した学校の教育計画である。」(学校事務のグランドデザイン)
 カリキュラムと教育課程を整理すると、教育課程は「教育の目的や学校教育目標を達成するために、学習者の実態に応じて学習内容を総合的に組織、計画したもの」であり、一方、カリキュラムは「学校において意図的・無意図的に学ばれる経験の総体」と言われる。このことから、カリキュラムと教育課程は全く同一のものではない。
 こうしたことを踏まえ、カリキュラムマネジメントは、「学校が教育目標の達成をめざし、その実現のため、教育内容・方法と学校内外の資源や強みを結びつけ、教育課程編成の基準に基づき、各教科等の相互の関連を重視した教育課程経営(編成・展開)を組織的・自主的・自律的に行い、カリキュラムの改善を図り、教育の質を高めるための具体的な方策」(学校事務のグランドデザイン)であり、学校改善の中心となるべきものであるといえる。
 カリキュラムマネジメントは、カリキュラムづくりを通して学校の組織と文化をよりよいものに変えていくことを目指している。その際、評価の観点からカリキュラムを捉え、PDCAのマネジメント・サイクルを活かした教育活動の展開が重要である。
 事務職員はカリキュラムマネジメントと一体となった教育条件整備を行う中で、全体計画の作成や教科等との関連、教職員の協働等を学ぶことができる。こうした、各学校での実践を基に研究を進め、その成果を学校に還元することでカリキュラムマネジメントへの取組が更に進むと考える。
 体系的研修に基づく経験の積み重ねや、教員と事務職員の協働体制の構築など、そうした事務職員の取組や関わりの実践報告を通して、事務職員の役割を充実させたい。

(2)教育課程の編成・実施と学校財務・学校施設設備
 特色ある教育活動の柱となる教育課程を踏まえ、学校経営のマネジメントを展開するには、教育の中身と教育の方法、そして人、もの、かね、情報、これを一体的に視野におさめて、それを運用・展開していく発想と具体的な手法の開発が必要であり、こうした条件整備と教育課程を結びつける役割は、事務職員にあると考える。
 事務職員の基幹的業務である学校財務をベースに、教育課程と財務を結びつけ、学校財務が教育を支え、教育の成果が学校経営改善に寄与するという意識の醸成を図るとともに、事業別予算制度の考え方を更に深め、教育課程と一体となった予算編成、執行計画の策定と適正な管理、執行、決算、評価を機能させる学校財務マネジメントについて議論を深めたい。
 また、学校施設は学校教育活動を行うための基本的な教育条件の一つであり、学習内容・学習形態、ICT化の進展等の変化に対応し得る学校施設を適切に維持・改善していくことが不可欠である。
 こうした点を踏まえ、学校施設設備マネジメントについて考える。

(3)学校間連携・地域連携を踏まえた教育課程の編成・実施と学校事務組織
 新学習指導要領では、学校間及び学校種間の連携・接続や家庭・地域との連携・協働を深め、地域全体で子どもをはぐくむことができるよう、その教育力を高めるとともに、地域が学校を支える仕組みを構築していくことが求められた。このことからも、学校と地域をつなぎ拡げる役割をもった組織が必要となり、中学校区単位や複数の学校で組織する地区学校事務室(共同実施組織)は、地域社会の中で新しい役割を担っていくことも求められる。
 事務職員は法規や財務のみならず、学校内外のネットワーク資源に恵まれ、それらを通じて入手できる情報も多岐に富むことが強みである。
 こうした強みから、事務職員は学校間連携・地域連携を踏まえた教育課程の実施においても、教員とは異なった視点をもとにした資源開発が期待できる。財務、情報、施設設備、人的資源の共同利用や相互活用など、限られた資源を効果的に配分できる戦略的思考と、教育に深い理解を持ち情報とネットワーク資源を管理・駆使し、教育課程の実施を教員とともに実現する事務職員の在り方を考えたい。

(平成21年全事研総会議案書より)

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